2018年3月26日、初の単著『健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方』(ディスカヴァー携書)が出版されました。
2018年はこの執筆の追い込みに始まり、販促に明け暮れ、一段落してそこからまた再始動、という年でした。
具体的には、拙著が日経新聞一面や東京新聞書評欄など大手新聞・雑誌で多数、紹介されたり、拙著をきっかけにNHK『ニッポンのジレンマ』や各種イベントに出演・登壇したり、(実施時期順に)堀潤さん、為末大さん、佐々木俊尚さんとそれぞれ対談させていただいたり。
結果として、アマゾンのカテゴリー1位にいくつかの部門でなり、関連するSNS投稿が10,000を超えるなど、ある意味では今年、私のコンテンツでは一番「バズった」ものと言えるかもしれません。一方で、ネットだけでなく、リアルの世界に情報を届けるという点では、課題も残りました。
そのあたりの所感も含めて、この記事では、拙著の出版と、それにまつわるイベントを振り返ります(メディアや会社については敬称略)。数字だけまとめると、拙著関連で新聞に10回、雑誌に6回、取り上げていただき、テレビ出演が1回、ネットテレビ出演が1回、イベント登壇が5回ありました。
www.amazon.co.jp
ネットの口コミ
twitter.com
昨年12月の予約開始から今年12月現在までの拙著の口コミは、上にまとめたTwitterのツイートだけでも約2500(RTを含む)。自分が期待されている仕事がどんなものか、あらためてよくわかりました。この場を借りて、みなさま、本当にありがとうございました。
新聞での紹介
日経新聞夕刊「プロムナード」
最初に拙著を新聞で取り上げてくださったのは、4月10日の日経新聞夕刊「プロムナード」。文筆家・ゲーム作家の山本貴光さんのコラムでした。「知の予防接種」というタイトルは、自分の仕事を的確に言い表していただいたようで、とてもうれしかったです。
www.nikkei.com
6月2日には朝日新聞の医療サイト『アピタル』に書評が掲載されました。後述しますが私は同サイトのインタビューを受けており、その公開直前だったのでびっくりしました(このコーナーは独立して準備されているようで、私を担当された方も把握していなかったようです)。
「伝える」という仕事をしていて、心の底で感じていたモヤモヤや問題意識に、形を与え明確化してくれる2冊。自分がここまで考えを深められなかった力不足も感じつつ、学ぶことが多い読書体験でした。
科学抜きには語れない、でも科学だけでは足りない
続いて、3日。日経新聞朝刊一面コラム「春秋」で、拙著を紹介いただきました。先日、10年くらい会っていない親から「これまでなにをしているのかよくわからなかったが、日経の朝刊に載っているのを見かけたのでがんばっているのだろう」的なことを言われました。
マスメディアの影響力の大きさを知るとともに、ネットに疎い私の親のような人に情報を届けるには、このままではダメなんじゃないか、ということを強く感じたエピソードでもあります。「騙される」のはどういう層なのか、と考えたときに。
www.nikkei.com
前述したアピタルのインタビュー。自分が記者さんに取材されるのはなかなか緊張するものですが、水野梓記者のすばらしい取材と文で、私が伝えたいことを的確に、記事にしていただきました。先輩方の背中から学ぶことばかり。精進します。
「正しい医療情報」とは だまされない付き合い方
東京新聞書評「3冊の本棚」
6月は新聞での紹介を多くいただいた月でした。17日には東京新聞書評欄「3冊の本棚」で、評論家の栗原裕一郎さんより「ワクチン」をテーマに選出いただきました。ツイートしたように、ネット外へのアプローチという意味でも、とてもありがたい出来事でした。
東京新聞「3冊の本棚」
後述しますが、6月12日に元オリンピック日本代表の為末大さんと対談イベントを開催しました。きっかけは為末さんが拙著を読んでくださり、以前から関心があったという「怪しいトレーニング法にどう対処するか」という問題意識と合致したからでした。
学生時代から今に至るまで陸上をしている私にとって、為末さんは本当のヒーロー。非常に貴重な経験となりました。詳細については後の項に回しますが、ダイジェスト版は朝日新聞デジタルとwithnewsに掲載されているので、以下のリンクからどうぞ。
為末さん×朽木さん対談 誰もが情報発信者の時代で
為末さん×朽木さん対談 情報をうまく見極めるために
「ネットの健康情報」見極め方 為末さんと医学部卒ライターが激論
怪しい健康情報、為末さんのジレンマ 数十万フォロワーの社会的責任
怪しい健康情報、対策は? 為末さんが語った問題意識
テレビ・ネット番組への出演
NHK『ニッポンのジレンマ』
「著書がある」というのは私のような若輩者にとってはひとつのステップアップになるもので、5月26日にNHK『ニッポンのジレンマ』に出演させていただきました。世界的ベストセラー『LIFE SHIFT』著者のリンダ・グラットンさんを迎え、「人生100年時代」について議論を交わしています。
新世代が解く!ニッポンのジレンマ
toyokeizai.net
ニコ生『世の中からクソメディアは絶滅したのか』
live.nicovideo.jp
ネットメディアに関わる大先輩の中川淳一郎さんとヨッピーさんの番組に出演させていただきました。インターネットを愛する方々だからこその過激な発言が飛び出し続け、「会社に戻る席が残っているだろうか」と思いながら話していました。優秀な編集者の方の差配もあり、御礼申し上げます。
originalnews.nico
雑誌での紹介
小説すばる(2018年4月号)「著者インタビュー」
なんと、発売にあわせて『小説すばる』(2018年4月号)さんで紹介いただきました。ずっと読んできた作家さんと同じ雑誌に自分の名前が載るというのは不思議な感覚です。ネットの医療情報の現状に強い問題意識を持たれている編集者の方から、案内をいただいたのでした。
同時に考えたのは、このような違った角度からのアプローチをしていかないと、「ネットの医療情報の問題」に関心がある人にしか情報が届かないという点です。本当にこの問題をなんとかしたいなら、同じ方法ばかりを繰り返していても意味がありません。
syousetsu-subaru.shueisha.co.jp
広報会議(2018年7月号)「著者インタビュー」
『広報会議』(2018年7月号)でインタビューをしていただきました。本当に害のある情報の発信を止めたいのであれば、企業やマーケターさん、クリエイターさんへのアプローチは不可欠です。今後も引き続き、このような活動を続けていきます。
ダ・ヴィンチ(2018年7月号)「この本にひとめ惚れ」
『ダ・ヴィンチ』(2018年7月号)書評コーナーの「この本にひとめ惚れ」では、コルク代表の佐渡島庸平さんの「ひとめ惚れ」に掲出いただきました。“ネットで発信される医療デマにどのように気づくのか、とても丁寧に書かれている好著”との選評、思わず雑誌を拝みました。
ddnavi.com
『Wedge』(2018年7月号)「新刊クリップ」
『Wedge』(2018年7月号)ではノンフィクション作家の足立倫行さんにインタビューをしていただきました。この道40年の大先輩から「これからも2冊目、3冊目とがんばってください」温かい言葉をかけていただき、あらためて背筋が伸びました。
他、『週間SPA!』(2018年4/17号)と『PRESIDENT』(2018年5/14号)でも紹介いただいています。
対談など
4/3「『伝わらない時代』の伝え方 – なぜ、こんなにも伝わらないのか」@B&B
キャスター・ジャーナリストの堀潤さんと「伝わらない時代の伝え方」をテーマに対談しました。堀さんはこれまで数回、取材させていただいたことがあり、報道の世界に入るきっかけになった方です。また、堀さんの『伝える人になろう講座』の編集協力も担当しました。
「日本人」「被災地」といった言葉の主語の大きさや、「平和」などの概念の因数分解など、長く報道に携わってきた堀さんならではの、貴重な言葉をたくさん聞くことができました。以下のモーメントにまとめたので、当日の雰囲気を知りたい方はどうぞ。
twitter.com
bookandbeer.com
6/5公開「佐々木俊尚×朽木誠一郎インタビュー『ネット社会の健康情報とどう向き合う?』」
ジャーナリストの佐々木俊尚さんと対談をさせていただきました。佐々木さんの以下の言葉は、ネットメディアに関わる者として課題感を持つところであり、あらためて指摘されたことで、今後、自分がどのような姿勢を取るべきか、方向が定まったように思います。
出版社とか新聞社から来た人から見ると、コンテンツってやっぱり文化の氷山の頂上なわけで。海面には、膨大な数の教養とか変化のバックグラウンドみたいなものがあるんですよね。そこなしに上澄みの部分だけをやっていると、持続性がないんじゃないかなと自分も思っていましたね。
6/13「為末大さん対談【怪しいトレーニング法、食い物にされる健康】医療記者・朽木誠一郎さんと徹底討論」@渋谷ヒカリエ
前述した為末さんとのイベントは、「医療」というテーマで行き詰まりを感じていた自分にとって、突破口になるものでした。医療という膨大な研究データがある分野から、よりエビデンスの少ない「健康」、そして「競技スポーツ」へ。関心を広く持つことで新しい視点を得られたように思います。
具体的にどんな議論をしたのかについては、以下のモーメントをぜひ、一読していただければ。
twitter.com
為末大さん対談【怪しいトレーニング法、食い物にされる健康】医療記者・朽木誠一郎さんと徹底討論
イベント登壇など
2/18「メディカルジャーナリズム勉強会 第1回伝え方サミット」@Yahoo! LODGE
2月18日、拙著の校了直前のタイミングで、こちらに登壇させていただきました。たくさんの来場者の方に出版の告知をすることができ、私自身も会員であるメディカルジャーナリズム勉強会には、御礼をしてもしきれません。いつも本当にありがとうございます。
思えば、WELQ問題が起きた後、初回の勉強会に参加し、各社の記者のみなさんと知り合うことができたことが、今の私のキャリアに大きく、影響しています。偏らないためには、同じ志を持つたくさんの人と関わり、その意見に耳を傾けることが必要だと、自戒を込めて。
『メディカルジャーナリズム勉強会 第1回伝え方サミット』【ヨッピーに聞く!まじめな医療情報のバズり方~Googleアップデート 求められるものは~】
7/21「医療健康情報のファクトチェックはいかにして可能か?」@スマートニュース
7月21日、日本のファクトチェック団体であるファクトチェック・イニシアチブ・ジャパン(FIJ)のイベントに登壇させていただきました。
パネルディスカッションのメンバーはNHKディレクターでメディカルジャーナリズム勉強会の主催でもある市川衛さん、メディアドクター研究会幹事長で帝京大准教授の渡邊清高さん、元毎日新聞編集委員の小島正美さん、FIJ理事で食の安全と安心を科学する会代表の山﨑毅さんと、大先輩ばかり。
とても緊張しましたが、これまでの自分の活動を整理することができ、また関心の高い参加者の方々との意見交換が有意義でした。
archive.fij.info
9月13日「MEDIA DAY TOKYO 2018」@EDGEof TOKYOSHIBUYA
9月13日、PR TIMES主催の「MEDIA DAY TOKYO 2018」の【SESSION 1】Journalismに登壇しました。対談相手は『日経FinTech』編集長の原隆さん、モデレーターはCINRA代表取締役の杉浦太一さん。国内有数の雑誌ブランドをしょって立つ原さんの、以下の言葉が印象的でした。
対等の立場を保ち、ジャーナリズムを守り続けるためには、メディアとしてしっかりとお金を稼ぐという意識が大事
mediadaytokyo.jp
11/16「民放連報道研修部会『ネットとジャーナリズム』分科会」@民放連
下期で今後につながる体験になったのは、こちら。民放連の報道研修部会の登壇でした。このおかげで、テレビの報道分野の方々と関わりを持つことができたことは、今後、医療情報の問題をネット外に呼びかけていく上で、重要であると信じています。
その他、非公開のイベントなどに多数、登壇させていただきました。声をかけてくださったみなさま、ありがとうございます。
医療関係者の方々の書評
また、医療関係者の方々からブログ等で書評をいただくことも多く、あらためて紹介させていただければ幸いです(日付順/把握しきれていないものがあれば大変失礼いたします)。医療関係者の方を通し、患者さんにも届くことを願っています。
外科医けいゆうさん
keiyouwhite.com
FUJIPONさん
fujipon.hatenadiary.com
ドクトル・ジベルさん
ドクトルジベルのデルマトロジカ学習帳
森戸やすみさん
yasumi-08.hatenablog.com
宋美玄さん
ameblo.jp
津川友介さん
healthpolicyhealthecon.com
名取宏(なとろむ)さん
natrom.hatenablog.com
書籍の部分公開
ここまで紹介をしてきて、興味を持ってくださった方がいれば、以下のサイトで試し読みができますので、よろしければ。
www.buzzfeed.com
東洋経済オンラインでの第三章の公開
toyokeizai.net
特に東洋経済オンラインでの第三章の公開にあたっては、編集長に就任された武政秀明さんに再編集していただきました。ありがとうございます。
『ブクログ』『honto』『読書メーター』のレビューはこちら。本が好きな方々の評価、とてもありがたいです。
booklog.jp
honto.jp
bookmeter.com
便利なAmazonはこちら。また、大手書店は今も在庫があるはずですので、本屋さんに立ち寄った際はぜひ、探してみていただければ。
www.amazon.co.jp
また、オトバンクさんにオーディオブック化していただきました。ありがとうございました。
長文、失礼しました。社会人6年目、ライター9年目となる来年は、ホップ・ステップ・ジャンプの最後の「ステップ」の段階だと、自分の中では位置づけています。将来、大ジャンプができるように、準備を粛々としていきます。
あらためまして、2018年中は大変お世話になりました。2019年も引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。