朽木誠一郎 の あまのじゃく日記

ごめんなさいと念のため

「自分の手柄」なんてあるのかな

ノオトという編集プロダクションに入ってよかったのは自分よりすごい人たちがたくさんいることがわかったことだと思っている。

編集者・ライターとして、文章でも、経験でも、教養でも、なんもかなわねーって感じの人たちと一緒に仕事をすることができている。

この会社に拾い上げてもらえなかったらマジでやばかった、というような話をこのあとノオトOBの柿次郎さんとします。

 

contentz.jp

 

ひと口にライターと言ってもいろいろな仕事がある。企画からすることもあるし、企画はもらって、ライティングを担当することもある。

例えば今日公開されたこの記事は、『Forbes』というブランドのある媒体だから、その編集者さんが立てた企画を僕に書かせてくれたから、こうやって世に出ているわけで。

 

forbesjapan.com

 

よく思うのが、自分ひとりががんばるような仕事はしんどいし、正直あまり広がらない、ということだ。

取材対象者さんのご協力、編集者のスキル、ライターのスキル、媒体が積み上げてきたブランド、そういうものが掛け合わさっていいものが生まれるような気がする。

今年の仕事もポートフォリオにまとめている。この中にひとつでもいい記事だと思ってもらえるものがあるなら、それは僕よりも優秀なすべての関係者のおかげだ。

 

matome.naver.jp

 

本当にすごい人は、自分の手柄にこだわらず、譲ってくれる。だとしたら、「自分の手柄」なんて本当にあるのかな。

 

WELQの一件についてもそう。僕は早期にこの問題を(メディアで記事として)提起した、かもしれない。世の中も少し動いた、かもしれない。

でも、それは僕よりも早く事態を問題視していた辻正浩さんのような専門家がいて、BuzzFeed JAPANが丁寧な調査報道をして、さまざまな展開があった結果だ。

改善された点についてはよかったと思うし、後悔もない。ただ、その後の「さまざまな展開」の中で、炎上がエンタメのように消費されてしまったとも感じる。

僕はいつの間にか、どんどん拡大していく問題の外側にいた。「医療情報」「ネットメディア運営」の範囲を超えたら、僕にはそれを追及する知識もスキルも経験もない。

何かを書いて知らせるというのは、関係する人の人生に少なからず影響を与えるということなのに、事態は僕に収拾をつけられないところまで行き着いてしまった。

 

昨年末からこんな重たいことをずっと考えていた。自分がやったことを評価する基準すら自分は持っていない、というのは結構、ショックだった。

とりあえずの結論は、調査・報道についてちゃんと学ぶ、ということだ。自分がしたことの始末は、自分でつけられるようにするために。

 

そんなわけで、春から職場を移ることになりました。粛々と、自分の目の前にある、やるべきだと思うことをやっていきます。

在職中にお世話になったみなさん、そして僕の選択を聞いて、快く送り出してくれたノオト代表の宮脇さん、ノオトのメンバーに、心から感謝しています。

今の自分があるのは、僕に惜しみなく「手柄」を譲ってくれたみなさんのおかげです。本当にありがとうございました。

「結局、社会って変えられるんですか?」に個人的に思うこと

衣食住が足りたらできるだけ人の役に立つようなことがしたいと思うようになった。そのことに誰よりも自分がびっくりした。

ヒットする記事を作るのはもちろん自分の仕事だけど、それが少しずつできるようになってきたときに、その力は名前を売ることやお金を儲けること以外に使った方がみんなハッピーなんじゃないかという気になって、そういうテーマを仕事に織りこむようにしていた。

3月にYahoo!ニュースさんに福島県内と原発内部を取材する機会をいただいた。9月にはフローレンス代表の駒崎さん・都議のおときた駿さん・スマニュー望月さんのイベントのレポートを現代ビジネスさんで担当させてもらった。どちらも社会問題をテーマにした仕事だった。

gendai.ismedia.jp

でも、正直に言えば、そのときは一つひとつの仕事であって、つながっている感じはしなかった。僕は商業ライターという自覚が強かったので、むしろ何かに特化すると使われにくくなってよくないとも思っていた。そんなときに発生したのが、医療情報のキュレーションメディアの問題だった。

当時、検索エンジンやメディア運営の仕組みがわかっている医療の専門家の方は少ないように思えた。自分がやらなければ、この問題は放置され、いつか本当に被害が出てしてしまうかもしれない。大げさに聞こえるだろうけれど、中国ではインターネット上の虚偽の医療情報により、検索ユーザーが死亡する事例があったばかりだ。

www.nikkei.com

前述したように、特化したくないという意識から、それまでしばらくはあまり医学部出身であることを押し出さず、オールラウンダーとして執筆の仕事をしてきた。これも正直に言えば、医療ライターになるのなら、医師になって執筆の仕事をするのと同じか、それより専門性に乏しくなる、という思い込みがあったのもその理由だ。

ようやくプロのライターになれたかな、というタイミングで、自分にしか発信できない問題が目の前に転がっていた。いろいろ悩んで、それを取り上げることにした。

社会のほんの一部で上がった声は、やがてネット世論の大きな波になり、企業の方針変換を促し、そしてリアル世論にも影響を与えた。その間に僕は何度も先の対談を読み返していた。「社会は変えられる」と断言できるほどのことではないけれど、もしかしたらそういうこともできるのかもしれない、と今は言える。

当時、こんなツイートをしていた。実際にこれに近い流れになったことはうれしい限りだが、びっくりするようなクソリプも飛んできた。そして、これが社会問題に取り組む壁の一つだよなあ、とつくづく思った。晒し上げが目的ではないので抜粋にとどめるが、以下のようなものだ。

む~りぃww
サメ軟骨サプリ食べて
それが消化吸収分解代謝輸送再合成されて
膝の軟骨になるくらい
む~りぃww

んなドリーマーが
編集やってちゃアカンがなww

「社会を変えよう」みたいな意見には、こういう反応がつきものだ。諸先輩方はそれを跳ね除けて事を成したのだと思うと頭が下がるばかりだが、それにしても、どうして人の足を引っ張ろうとするのだろう。正しすぎる意見はムカつく、という心境はわからなくはないが、それでも、人の足を引っ張ろうとする社会であってほしくはない

ただし、絶対的に正しい意見なんて存在しない。僕は医学教育を受けたメディア関係者という立場で、自分が正しいと思う意見を発信した。別の意見もあるだろう。あとは対立する利害を、どうすれば社会がよくなるかという観点から、最大公約数的にならしていくしかない。

だからこそ、何かを変えるときは変え方が重要だ。議論はできるだけ落ち着いた言葉で、感情ではなく事実を積み重ねて、丁寧になされるべきだと思う。恨み辛みはいずれかならず議論の妨げになるし、その意味では収拾がつかなくなりつつある現状に悔いも残る。

今でこそ紙の仕事も多いが、もともと僕はインターネットがなければライターになれなかった人間だ。インターネットの自由さを守りたいと思う一方で、その便利さゆえにインターネットが普及し、アングラからインフラになった今、一定のルールやマナーが求められるのは仕方がないのではないか、とも思う。

しかし、そのルールやマナーの在り方もまた、社会の一部である以上は、やはり変えることができる。先の対談の駒崎さんの言葉をお借りすれば“人が作った制度を、人が変えられないわけがない”のだ。その点については、これからも粘り強く議論を重ねるべきだと思うし、僕も現状に責任のある人間として、そこに参加していきたい。

結果として社会問題に取り組むようになって、自分にしか発信できない問題はあるし、それを見すごしたくないと思うようになった。点と点がつながったというか、ライターとしての取材をする力、執筆する力を、医療という誰もが関わるテーマに活かしたら、僕も人の役に立てるかもしれない、という感覚だ。そして冒頭に戻る。

bylines.news.yahoo.co.jp

www.fujisan.co.jp

www.clasic.jp

hrnabi.com

最近はこんな取材をしている。一度は馴染めずに逃げ出した世界だが、実際にお話を伺うとやっぱりみんなカッコよかった。どんな形で医療に関わるかはまだ決めていないものの、来年度の合格を目標に医師国家試験の勉強をしている。あとは、馴染めなかったという自分のルーツを考える上でも、母校の問題にもいずれ取り組みたい。

www.sankei.com

もちろん、テーマを医療に限るつもりはなく、2020年の東京オリンピックを目標にアスリート取材もしていきたい。ワークスタイルやテクノロジーのテーマも引き続き取り組む。ただし、特化することを怖がって避けることなく、人の役に立ちたいという自分の欲求にも正直に、これからも社会問題を含む仕事をコツコツやっていくつもり。

最後になりますが、いつも記事を読んでくれるみなさま、どうひいき目に見てもバランスのよくない自分をサポートしてくれる担当編集者・媒体/クライアントのみなさま、相談に乗ってくれる仲間・先輩たち、そして自分をプロにしてくれた編集プロダクション・ノオトに、心からありがとうございます。来年もよろしくお願いします。

2016年に執筆してシェア数の多かったウェブの記事

2016年に執筆したウェブの記事のうち、どんなコンテンツがどこで話題になりやすいのかを調査していました。その中からシェア数が多い記事をメモしておきます。

基準はFacebookTwitterはてなブックマークのいずれかで1,000以上(2016/12/30時点の数値を10の位で四捨五入)とし、21本ありました。

Twitterなど公式機能でシェア数がカウントできない記事やドメインhttpsに移行した記事についてはこちらのサービスを利用して計測しています。

来年はより大きいスケールで仕事ができるようにがんばります。あとは打率が低いので上げていきます。今3〜4割の紙の仕事は春までに半々くらいの割合にしたい。

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zunny.jp

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おまけとして以下にシェア数が500以上(10の位を四捨五入)の記事12本もメモしておきます。

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福原愛選手のエッジボールと「良い話だからカット!」 #HyperlinkChallenge2016

少し仕事が落ち着いて、もう年末。師走の反動か、ここのところ寝ても寝ても眠い。

今年も HyperlinkChallenge が開催されている。せっかく友人のカツセくんからバトンを回してもらったのに、すっかり遅くなってしまった。

ウェブの記事はフローだなんてよく言われる。たしかに、こういう機会がなければ本当にどこかに流れて行ってしまうだろう。

ライターとしてはありがたいです。

 

企画の概要はこちらからどうぞ。

medium.com

 

早速ですが、今年一番印象に残ったのはこちらの記事です。

diamond.jp

リオ五輪の卓球女子団体準決勝のドイツ戦は、フルセットの最終ゲーム・3-7の劣勢から、6ポイント連取で福原愛選手が逆転。しかし、そこから相手が連続ポイントで9-10として、最後はエッジボール(卓球台の角に当たってインしてしまうことで、レシーブはほぼ無理)で敗退という後味の悪い展開になりました。それについて、石川佳純選手がサイドボール(卓球台の横に当たってしまうことで、これはアウト)では、と猛抗議した、その舞台裏を日本女子卓球監督・村上恭和さんにインタビューした記事です。

――すると、なぜ抗議したんですか?

村上 いやぁ、石川(佳純選手)がね、あの試合、福原を応援した声が「アドバイスを送った」と審判に誤解されてベンチ外に退場になっていたのですが、その石川が遠くから走ってきて言うんですよ、「監督、今のアウトです! 絶対アウトです! 抗議しましょう!」と、ものすごい剣幕で(笑)。

――そうだったんですね(笑)。それで、やむをえず?

 まぁ、そうですかね。団体戦では、審判への抗議は監督しかできませんからね。抗議せずにいたら石川が収まらない。だから「わかった、ちょっと行ってくるわ」と(笑)。

 でもよく考えたら、石川はあのボール見えてないですからね。退場して、ベンチから離れた暗いところで見ていたわけです、あのボールを。僕は石川よりも見やすい位置であのボールを見て、「入った」と思った。でもその後、石川が必死に走ってきて「アウトだ」と言う。この場合、選手の声を審判に伝えるのも監督の役目です。だから、抗議にいきました。

泣けるじゃねえか。

ちなみに、福原愛選手が試合後に相手の握手を拒否したのでは、という噂は監督の口から否定されています。その意味でも二重にいい記事でした。

個人的な次点は京都大学の「留年について」とほぼ日の「福山雅治さんインタビュー」です。

留年について-カウンセリングルーム(京都大学)

「望まれた役をする”劇団福山雅治”」 - ほぼ日刊イトイ新聞

 

自分の記事はどうかというと、多くて選べませんでした。2016年の執筆記事は120本ほどで、3日に一度は締切があったようです。

朽木誠一郎の記事一覧【2016】 - NAVER まとめ

よかったらこちらからどうぞ。

 

ですので、取材していただいたお気に入りの記事を紹介しておきます。

job.cinra.net

良い話をするとカットされるという斬新なインタビューでしたが、盛り上がってしまって取材時間は2〜3時間に及びました。

ノオトに入って改心したので昔のことは忘れてください、という内容です。まじめにコツコツやるのが一番。

 

バトンを回すところまでがこの企画のルールですが、そういうシステムには好き嫌いもあると思うので、事前にOKをもらった若手のライターたちにつなげます。

新國翔大( @n_sh2192 )くんとリュウイシハラ( @RtIs09 )くん、よろしくです。

僕も若手と言われることがありますが、とはいえ年齢で言えば30歳です。20代のライターさんがどんなことを考えているのか、聞いてみたいので。

 

ずいぶんひさしぶりになってしまったこのブログの更新ですが、ちょっとやってみたいこともあり、年末にかけて何回か更新するかも。

2016年ももうしばらくお付き合いください。

誰よりも速く走れるのに、いつも間に合わない

日本おめ!!!!!

 

www.gorin.jp

 

10年以上陸上やってたので日本の四継が銀メダルを獲ったのを見てフツーに泣きました。良いバトンだったよ、アメリカに勝つなんて本当にすごいよ。

さて、それは祝福したいだけで本題ではなく、タイトルは『X-MEN アポカリプス』に登場するキャラクターであるところのクイックシルバーの台詞です。以下、これ以上の映画のネタバレはしません。

 

 

 

クイックシルバー、わかりますか?

 

 

コイツです。この動画はX-MEN アポカリプスの登場人物をキャラクター設定そのままに起用したアメリカの通信会社のCMみたい(通信速度をクイックシルバーの移動速度とかけている)。日本のCMにドラえもんが出る感じかね。

クイックシルバーはマッハ以上のスピードで移動できる能力を持つミュータント。瞬間移動ではなくただ足が速いだけというアナログさもいい。でもそれだけじゃなくて、衝撃波を生み出したり、振動でガラスを粉砕したりできます。

 

Quicksilver (comics) - Wikipedia, the free encyclopedia

 

コミックスの姿はあんまりカッコよくないような……? ちなみにアベンジャーズシリーズにも別の役者さんで登場していますが、僕はX-MENシリーズの役者さんがお気に入りです。前作『X-MEN フューチャー・パスト』の様子はこちら。

 

 

 

毎回、見せ場では海外圏の懐かしの名曲にあわせて活躍するクイックシルバーX-MEN アポカリプスでは『Sweet Dreams』でした。めちゃくちゃカッコいい。しびれた。あのシーンのためだけにもう一回観に行く。

 

 

前述のCMしかり、クイックシルバーは全体的にふざけたヤツなんですが、今回の映画はわりとシリアス回です。そして紆余曲折あって彼の口をついて出たのが、“誰よりも速く走れるのに、いつも間に合わない”。

飛び抜けた能力を持ち、使えど、肝心のところで後悔してしまう、それが僕の中ではクリティカルヒットの「グッと来た」になりましたが、これは結構哲学的だなと思って、ここしばらくあれこれ考えていたわけです。

速さには絶対と相対があって、クイックシルバーの速さは絶対的。音よりも速く走れるんだからそりゃそうなんだけど、予知ができるプロフェッサーやジーンみたいな能力じゃないから、どうしたって、よくないモノゴトが発生してから動き始めることになる。

そうすると、先に動き始めているよくないモノゴトより、相対的に遅い。

誰よりも速く走れるから、追い着けそうになってしまう。でも、先に動き始めて、時としてすでに完了してしまったモノゴトには、あと一歩のところで手が届かない、という運命にあるのかな、と思ったんです。クイックシルバーの能力って。

それゆえに責任を感じることも、期待され外れてしまうこともたくさんあって、その結果口をついて出たのがこのセリフなのだとしたら、何て言うかもう、フツーに泣いちゃうじゃないですか。

がんばってるよ。すごいよ。

 

人生で一番忙しかったかもしれないこの数カ月で、本当にいろんなことがありました。その中にはフルスピードを出しても間に合わなかったことがいくつか。たぶん、それでこのセリフがグッと来たんだろうな。

アメコミのスーパーヒーローに自分を重ねるなんておこがましすぎるけど、そういう身の程知らずの楽しみ方をしたっていいじゃないですか!!!!!

僕はいろんなことを、やればできる、やっていないだけと思い込む傾向があって、実際にやってみたらできることもあるにはある。例えばここ数年太っていたのに一カ月で10kgヤセるとか、いざとなればおそらく意思は強い。

んだけど、がんばったって手遅れなことのほうがむしろいっぱいあって、そういうので痛い目にあった経験を、この30年の人生で何回繰り返しているんだよと心底イヤになった。なったけど、人ってなかなか変わらないから。

 

本当は、よくないモノゴトが発生する前に気づけたらいい。先読みして望ましくない未来を回避できるから。でも、そんな能力は持ち合わせていないから、いつだって全速力で走るしかないわけです。

そうすると、結局、精一杯生きるみたいなことなのかな、とも思う。会いたい人には会う、伝えたいことは伝える、やりたいことはやる、それでどんな結末になるのかはわからないけれど、次は間に合うかもしれないから。

 

そんなこんなで、大学卒業以来一度も練習していなかったのに先日母校の練習に参加して、数十メートルのダッシュをのろのろと何本かしただけなのに、とんでもない筋肉痛になって、何だよそもそも速く走れねーじゃん、って思いました。おわり。

深夜にラーメンを食べちゃった後にするべきたった1つの大切なこと

 

限定のらーめん

誠一郎 朽木さん(@amanojerk)が投稿した写真 -

 

腹筋。

 

これでおわりにしようかとも少し思ったけどさすがにどうかと踏み止まったのと、東京の姉ことはせおやさいさんにこんなことを言ってもらったのでもうちょっと続ける。

 

  

hase0831.hatenablog.jp

 

このエントリよい~~~ってツイートしたら(ありがたいことに)自分のブログの話題が飛び出してきて放置気味であることにハッとしたわけだ。やっべ。

この数カ月はバタバタしていろいろあって、仕事はちゃんとやってたから制作実績ばっかり積み重なって、でもたしかによそ行きじゃない自分の言葉で何か書くっていうのはやっていなかった気がするな。

 

matome.naver.jp

 

まあそんなことはよくて、深夜のラーメンですよ、ラーメン。ちくしょう、悪友が目黒に引っ越してきたものだから新居で雑談(ブレストって名目だったっけ)してたら日付変わっちゃって、お腹は減ってたからラーメン食べちゃった。

でも、ここでちょっと考えてみたい。「なんでだろう」って。自分を責めるのは簡単だよ? だけどそれって建設的なのかな? 自分が“ラーメンを食べちゃう”という構造にある問題を解決しないとまた同じことを繰り返すだけじゃない?

みたいに言うヤツのことはいつだって大嫌いなんだけど、どうして人は深夜にラーメンを食べがちなのかってことについては一考の価値があると思う。で、わかっちゃった。先人たちがあえなくデブっていった難題わかっちゃった。

 

深夜にラーメン屋しか空いてないからじゃない?

 

いや、落ち着いて。だってそうじゃない? 1時2時にまだラストオーダー終わってないのってガールズバーかラーメン屋くらいなんじゃない? そうなるとニワトリが先か卵が先か的な議論になるけど。

人が深夜にラーメンを食べがちなのはラーメン屋しか開いてないから。

 

たった1つ確かなのは、こんな感じになるならこのエントリ別に書かなくてよかったなってことだ。

新宿のダイコクドラックに鉄人兵団はいない

路面のチェーン店くらいの広さのフロアに客の姿はまばらで、どちらかと言えばガラリとした店内には、併設されたイベント会場からアイドルか何かの歌声が賑やかに聞こえてくる。

新宿で映画を観に行く前に立ち寄ったのは、映画館の向かいのビル最上階のダイコクドラックだった。ビルの外窓にでかでか貼られたポスターは、正確には、大黒药店なる見慣れない表記になっていた。

品揃えはむしろ充実していて、目当ての咳止めシロップもすぐに見つかるほど。ここ最近お世話になっているこの市販薬を手に取ったときに最初の違和感があった。空箱じゃないか。

他の薬もいくつか持ち上げて試してみるが、中身は入っていないようだ。本やDVDを買う際にはよくあるシステムだが、ドラックストアでは初めて。とは言え、こういうこともあるだろうと気を取り直す。

咳止めシロップの空箱を持ってレジに向かうと、床の矢印は二種類に分かれていた。いわく、「免税」と「それ以外」。それぞれ英語と中国語の翻訳付きで、レジのほとんどが免税。

ようやく気付いた。ここでは日本人である自分が少数派なのだ。いわゆる爆買いの需要を見込んで、観光客向けに展開されているのだろう。商品を空箱にしての効率化も納得できる。

そもそも、ビルの最上階にドラックストアがあるというのは、日本人相手の商売であれば不便だ。「免税」のレジでは観光客らしき中国人と中国人の店員が、中国語で会話をしていた。

レジの前に置かれているのは、大きめのスーツケースやキャリーバッグ。エレベーターを降りたときに、いきなり床が斜めになっていてコケたのは、詰め込んだ荷物の持ち運びをスムーズにするためか。

招かれざる客とまでは言わないが、おそらくあまり日本人をターゲットにしていないかも知れない。無人だった「それ以外」のレジにやって来た店員は、見習いとその指南役の二人とも、中国人だった。

対応はしっかりしていたし、気持ちのいい買い物だった。日本が観光先に選ばれるのはうれしいことだ。それでも自分の中に残る違和感の理由をしばらく考えあぐねて、はたと思いあたる。

鏡面世界みたいなのだ。これは、ドラえもん映画の名作、『のび太と鉄人兵団』(旧バージョン)に登場するひみつ道具の“逆世界入りこみ鏡”で出入りする、鏡の中のパラレルワールドである。

映画の中で、のび太たちは鏡の中の逆世界のスーパーに行き、確保した食料でバーベキューをして、鉄人兵団を迎え撃つ。逆世界は他の人間が存在しないから、何をしても自由、というわけだ。

逆世界とはいろいろ違うし、鉄人兵団もいないが、感覚はパラレルワールドに入りこんだのに近い。店内の商品はすべて日本語で表記されているが、そこに日本人は(店員すら)一人もいないのだ。

日本にある日本の店だから多数派で当然、という意識すらしていない前提が覆されたとき、人はうろたえる。もしかして、いつの間にか世界は、自分以外すべて入れ替わってしまったんじゃないか。

脳が混乱したまま、半ば逃げるように店を後にした。ちょっとした異次元世界の体験である。興味深い体験として総括しようとして、思い出したことがある。コンドームの買い忘れだ。

私の頭の中の小さいおっさん

インターネットをしていると友人知人が炎上したり、どこかの企業がくっそブラックだったりするじゃないですか。

細かいことが気になるタイプなので人知れず胸を痛めるなどしている。

でもそういう感情が強くなり過ぎて、ネトヲチに没頭してしまうと、本来するべきことにあてるはずの時間を持って行かれてしまう。

逆もそうで、活躍する同業を疎んだり妬んだりというのも、ムダ。エアリプを「自分のことかな」って思い悩むのも、ムダ。

 

そんなときに役に立ってくれるのが私の頭の中の小さいおっさんだ。

おっさんは言ってくれる。「他人のこと気にしてる場合とちゃうで」と。

 

自分には関係のないことを「関係ない」と割り切るのって、結構ムズかしいよね。

例えば、思春期に、好きな女の子が自分の知らないところで自分の友人と遊んでたことを後から知ったとする。本来、これは自分には関係のないことなんだけど、猛烈に気になりませんでしたか。

何かに執着しているときの心理状態って、結局こういうことなんじゃないの、と思う。子供みたいに、すべてを自分のものにしたいというか、コントロールしたいというか。

結局は自分と自分を取り巻く環境との境界にどこで線を引くかなのだろうけど、そこで自分の枠を大きめに確保してしまうと、本来は自分のものではないもの、コントロールできないことにまで頭を悩ませることになる。

 

だから、小さいおっさんが必要なのだ。自分には関係のないことを「関係ない」と割り切ってくれるはずの存在として。

良心の声と言い換えてもいいかもしれない。だって、正直になってみれば、自分でも気がついているはずだから。所有欲が邪魔をして、認めたくないだけで、自分以外自分の自由になる物事なんてない。

 

ただし副作用として、ふつうにムカついたときとかに「ケツの穴に指突っ込んで奥歯がたがた言わせたろか」というおっさんの声が脳内再生されるので注意が必要だ。

そして、文中に非関西人による偽関西弁を使用していることについては本当に申し訳ございませんでした。

タスク管理ってテトリスなんじゃないか

社会人三年目、一般に勝負の年と言われるが、ダメである。

何がダメかというと、タスク管理が苦手だ。とはいえ、失敗したりその度に周囲にサポートしてもらったりを繰り返すことで、そろそろ自分のキャパの上限がわかってきた。同時に、キャパの上限がわかるだけでは、何度もキャパ超えを繰り返してしまうこともわかった。

ピンチになるとキャパ超えを回避しようとして、いかにリソースをやりくりして現状を打破するかを必死で考えるだろう。しかし、気が付いた。これはテトリスに似ている。すでに画面がとっ散らかり、もうハマる場所がないブロックをくるくる回しながら、ゲームオーバーを悟るあの瞬間だ。

つまり、ピンチになった時点ですでに詰んでいるのである(テトリスだけに!)。画面の上の線を越えたらゲームオーバーとわかっているのに、一個一個のブロックに都度対処しているうちに、想定外にブロックが積み上がってしまう状況のよう。土壇場の調整力だけではどうにもならないのだ。

本当にキャパ超えを回避するためには、むしろ個々のタスクがどれくらいの容量を食うのか、その判断の精度を上げるほうが大事かもしれない。テトリスならブロックの形状とその組み合わせ次第で、ブロックの連なりが最大どれくらいのサイズになるのかを事前に把握しておく。

現実世界では、例えば工数を読みやすいタスクは早めに洗い出す。打ち合わせや取材などは所要時間があらかじめ決まっているので、サイズのわかりやすいブロックだ。とは言え、この場合も、移動時間のような工数を余分に見ておくのがポイントだろう。一本棒のブロックでも、回転などさせると思わぬところで引っかかるもの。

最近は、自分のようなダメ社会人が仕事の質を保つには、アポの前後1hずつしっかり空けるくらいでもいいんじゃないかと思っている。分刻みのスケジュールがカッコいいのではなく、そうならないように調整できるのがカッコいいような気がするので。本当にデキる人はどうかしらんけども。

資料作成や原稿執筆など、工数を読みにくいタスクはもっと多めに見積もっておく。自分にとってクリエイティブなことほどやたらこだわったりして、予想以上に時間がかかるじゃないですか。僕個人は、例えば原稿執筆に4hかかると予想した場合はたいてい6hかかる。誠に遺憾ではあるが自分が思うほど自分はデキない。

1.5倍など生ぬるいので2倍くらいのリソースを確保しておくようにしたい。テトリス下手はいつでも最もコンパクトに積めた状態のテトリスをイメージするが、コントローラーを持つ手が滑り、横に寝かせようとした長いヤツが縦に立ってしまって即死みたいなことは往々にしてあるのだから。

そして大事なことは、ここはテトリスとはちがうんだけど、画面に収まるだけのブロックを扱うことだ。人間のキャパには上限があるんだから、なんでもかんでも引き受けない。そしてキャパ超えを自覚したらゲームを一時停止して、周囲に助けを求める。巧みなブロック捌きみたいなのは、その先にあるテクニックなんだと思うんよね。

まあ、テトリスそんなやったことないんだけども。

深夜のTSUTAYAいいよね

よくない?

スウェットパンツにシャカシャカ素材の上着を引っ掛けて、午前二時にTSUTAYAに向かう夜道がいい。

部屋着のワンピースにパーカーを羽織った女の子に一緒に歩いていてほしい。

もうシャワーは浴びてるから、途中でニオイのつく飲み屋には入らない。コンビニのアイスはあり。

寒くも暑くもないこのくらいの時期は、TSUTAYAまでの夜のピクニックにぴったりだ。

んで、深夜のTSUTAYAには気だるい空気が立ち込めている。電気も心持ち暗い。

まだ一日を終わらせたくないのだ、みんな。目的とかはなくて、寝るまでの時間を延長している。

結局、映画は借りたり借りなかったり。眠たげな店員に送り出されて、家に帰る。



大学時代はそうやって、毎晩のように家の近くのTSUTAYAに行っていたような気がする。

インセプション』にめちゃくちゃ興奮して、いつかこんなすげーモノ作りてえ〜〜〜って思って。

地に足が着かないまま上京した社会人三年目、何とか人間らしい生活を取り戻しつつある。

https://www.instagram.com/p/BEQcxT8wCsA/

広域品川圏に引っ越しました。がんばるぞ。


というわけで引っ越ししました。高円寺の彼女の家に転がり込んだのが去年の春、早いもので一年。

その前は社宅だったので、ようやく自分の家を持つことができた。今度は僕が彼女を呼んで。

いよいよ30だし、人生の節目だし、もっとオトナになんなきゃなーと思うことばっかりなのだけど。



家の近くには高円寺にはなかったTSUTAYAがあって、ひさしぶりに深夜のTSUTAYAに行ってみた。

時間も場所もちがうのに、深夜のTSUTAYAは深夜のTSUTAYAだった。ダメそうな人間の巣窟。

なんて言うか、ぜんぜん変わってない気がする。大学時代と同じことしてる。

インセプション』みたいなモノを作りたいなんてどの口で、と当時の自分を二、三発殴りたいけど。

でも今、『ピッチ・パーフェクト2』と『007 スペクター』を借りてきて観ている。

別に焦んなくてもいっか、と思った。ジェームズ・ボンドだって、ずっと抱くか殺すかばっかりだし。