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朽木誠一郎 の あまのじゃく日記

ごめんなさいと念のため

椎名林檎のライブに行った日

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当エントリーには頭髪関係に困難を抱えた方が不快に感じる可能性のある表現が含まれます。あらかじめご了承の上、問題のない場合のみ閲覧ください。

 

椎名林檎女史の15周年ファンクラブ限定ライブに行った。なんでも当選確率は数百分の1だったらしい。年間4000円の会費を払いつづけた甲斐があったというものだ。

内容に関しては、運営からネットに書くなとの旨アナウンスがあったので書かない。僕は林檎ちゃんが好きだし、林檎ちゃんは変わらずお美しかったとだけ報告しておく。

客層はいろいろだったけれど、とんがってた頃の林檎ちゃんみたいなバンギャと、最新版にアプデが済んでお着物をお召しになったお姉様たちが目立っていた。

椎名林檎のライブ本当に椎名林檎が好きそうな人ばかりでウケる。

 

僕はちょうど中2の時分に『本能』と出会い、性のざわめきと鬱屈した自意識がないまぜになってどっぷりはまり、東京事変(とくに第二期が好き)を経て、至る今。

事変と言えば解散ライブは武道館だった。なんとか最終日のチケットをゲットしたものの、僕の席はそのどんづまりで、女史の御姿は豆粒、ガッカリした覚えがある。

それに比べれば今回は全校集会の校長先生くらいの距離感だったので満足である。しかし問題は別のところにあった。

 

今回僕は2階席の2列目と、ステージに近くはないけど見晴らしはよく、好立地に思われた。隣の席は妊婦さんで、胎教よろしくライブを聞きながらお腹を触っていた。

僕は林檎ちゃんが大好きだけど胎児の時期から『ここキス』とか聞かせたらとんでもないメンヘラに育ってしまうんじゃないかと心配ではある。微笑ましかったが。

で、ライブ開始直後まで僕の前の席には誰も現れなかったのだ。まさか席を移れるとは思っていなかったけれど、視界が開けているに越したことはない。

内心ホクホクしていたところに遅れて現れたのだ。ハゲが。

 

薄毛は本人の責任によるものではないし、薄毛でも格好いい人はたくさんいる。いまここで名前を挙げるのは逆効果だから言えないけれどたくさんいる。

そして明日は我が身である。とうに亡くなったが母方の祖父はハゲていた。たぶんそう遠くない将来僕もハゲるだろう。しかしだ。

おもしろすぎるのである。その人はちょうど前方に向けてU字型に生け垣が残るスタイルで、よく見ると中心部にわずかばかり新たな草木が息吹いていた。

ライブで前の席にハゲ。こんなにずるいことはない。

 

だって2階席だからステージを見下ろすとぜったい視界に入るもん。ステージ左右への移動により日の出と日の入りのようにハゲから林檎がイナイナイバーするのである。

おまけに開演に遅れたことでちょっと急いだと見え、露出部の汗をときおりハンカチでお拭きになる。すわ確信犯かと思ったほどだ。

演出の光線が反射して頭がキラリと輝いたり、よく見すぎたせいで一部分が空き缶みたいに凹んでいることに気づいてしまったり、とにかく集中できない。

 

せっかく当選したライブなのにどうしてくれるんだ。そんな憤まんやるかたない気持ちでいたらセトリがムーディーな曲に差しかかり、そこでなんとそのハゲがノリだした。

暗くなったホール、弧を描くようにリズムを取るハゲ、反射する光線。僕の目の前がエレクトリカルパレードと化してく。林檎ちゃんの声が耳に入らない。

あまつさえハゲは揺れつつちょっとタメを作ったりする。演歌歌手のコブシみたいになっているのが後ろからもわかる。僕は林檎ちゃんよりもはやむしろハゲを見ている。

そしてハゲのメトロノームが最高に盛り上がったとき、隣に座る女性が産気づいた。

 

ハゲと林檎のイナイナイバー、隣の妊婦のヒッヒッフー。ハゲと林檎のイナイナイバー、隣の妊婦のヒッヒッフー。もうだめだ、僕はダメだ。

結局、妊婦さんはちょっと調子悪いくらいだったようでことなきを得たけれど、やっぱりライブの席運わりーなと自らを呪い、僕はずるずると席に沈んだのでした。